証書の値を話すとき、最もよく食い違う認識があります。「炭素1トンでいくらか」という形で問うことです。
証書の値はそうやって決まるのではありません。低排出燃料を使うのにかかる追加費用のうち、どれだけを市場が分けて負うかで決まります。
標準化機関の調査に書かれた仕組み
SBTi が2025年3月に公表した証拠統合報告書に、この仕組みがそのまま書かれています。持続可能な航空燃料の証書は「従来の航空燃料に対する持続可能な航空燃料の価格プレミアムから政府のインセンティブを差し引いた分」を負担するよう設計されました(30ページ)。
式に移すと簡単です。
証書が負う分 = (低排出燃料の価格 − 従来燃料の価格) − 政府インセンティブ
だから国によって違います
同じ報告書は、平均の証書価格が生産原価に占めた割合を国別に整理しています。英国27%、ドイツ55%、そして家畜ふん尿由来のバイオメタンに限った**デンマークは平均83%**でした(30ページ)。
同じモノなのに倍以上の差が出ます。証書がよく売れているからではなく、政府のインセンティブがどれだけ埋めてくれるかが国によって違うからです。 インセンティブが厚ければ証書が負う分は減り、薄ければより多く負います。
値の見方
この仕組みを知ると判断が変わります。証書の値が高く見えるなら、たいていその燃料のプレミアムが大きいか、その国のインセンティブが薄いという意味であり、安く見えるならその逆です。
そして、他国の値をそのまま持ち込むことはできないという意味でもあります。持ち込むなら、その国の燃料制度まで一緒に持ち込まねばなりません。
本稿は LCS EAC 特集 第2巻『値はどう決まるのか』の一節を敷衍したものです。レポート全文は SABA のプレスリリース、DP World 公式ページ、SBTi 証拠統合報告書 Part 2 を一次出典とし、公表された数値と、その数値を割って得た値を区別して表記しています。
値はどう決まるのか
公開された指数がない市場で実際に動いた金額、そして値が決まる仕組み
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