SBTi は2025年3月、証書をめぐる根拠を総合した報告書を出した。燃料・電力・商品証書を通じて418件を検討し(7ページ)、そのうち燃料分野として評価されたものが150件だった(9ページ)。
その150件のうち最上位等級に分類されたのは1件だった(8ページ)。
この数字は読み違えやすい
「証書は脆弱だ」と読むと誤りである。
法令も査読論文も複数提出された。ところが SBTi が立てた八つの研究設問のうち四つ以上を扱えなかったという理由で等級が下がった。個別の文書の品質に対する評価ではなく、一つの文書が扱う設問の広さに対する評価である。
八つの設問はこういうものである。証書は実際に削減を生み出すのか。効果的であるためにどんな規制上の安全装置と市場インフラが要るのか。できる主張とできない主張は何か。証書の市場価値は削減費用に見合うのか。
一編の論文がこのうち四つ以上を併せて扱うのは難しい。だから等級が下がったのであって、個々の文書が誤っているという意味ではない。
だから今はどういう時点なのか
規則はすでに立っている。基準は証書をどんな条件の下で使えるかを定めてある。足りないのはその規則が実際にどう働くかを示す資料である。
言い換えれば、いま運行データを備えて実際に回してみる側が、その資料を作る場所に立つことになる。後にこの市場を説明する文書は、いま積み上がっている記録から出てくる。
この記事は LCS EAC 特集1巻『買った削減は自社のものになるか』の一節を展開したものです。レポート全文は SBTi 企業ネットゼロ基準 V2.0 と SBTi 証拠統合報告書 Part 2 を一次出典とし、すべての引用に原文の印刷ページ番号を示しています。
買った削減は自社のものになるか
SBTi 基準 V2.0 が市場手段に課した条件、そしてまだ整理されていないこと
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