低排出燃料を使う理由は二つのうちどちらかである。自発的に使うか、制度が求めるから使うか。
問題はこれである。制度が求めた分だけ使った燃料で証書を作って売ってよいのか。
SBTi 証拠統合報告書はこの論争を六つの論点の一つとして別に立てた(18ページ)。
双方の主張
一方はこう見る。すでに規制で強制された削減であれば、証書があろうとなかろうとその燃料は使われていた。それを自発的市場で再び売れば、実際に追加された削減はない。
もう一方はこう見る。証書が生産者の収益の確実性を高め、低排出燃料の普及を早める。規制の履行分であっても、市場がプレミアムを分けて負えば次の設備投資が速くなる。
まだ整理されていない。
実務で今できること
結論が出るのを待つ必要はない。どちらに整理されようと、確かめるべきことは同じである。
この証書がどの燃料から出て、その燃料がどの制度の義務履行に使われたのか。 これに答えられない証書は、どちらの結論の下でも立場を失う。
だから前の記事で扱った地理の条件がここで再び効いてくる — 規制上の義務履行として報告される証書は、その規制が定めた地理的範囲の内でのみ取引されるべきだという条件である(証拠統合 39ページ)。制度と証書が重なる場所を管理するための仕掛けである。
関連して、航空にはまだ開いている部分がある。証拠統合は持続可能な航空燃料について「既存の政策において、ブック・アンド・クレームの管理の連鎖モデルが燃料の混合段階を越えてまで許容されるかは不明確である」と記した(47ページ)。
この記事は LCS EAC 特集1巻『買った削減は自社のものになるか』の一節を展開したものです。レポート全文は SBTi 企業ネットゼロ基準 V2.0 と SBTi 証拠統合報告書 Part 2 を一次出典とし、すべての引用に原文の印刷ページ番号を示しています。
買った削減は自社のものになるか
SBTi 基準 V2.0 が市場手段に課した条件、そしてまだ整理されていないこと
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